違いを知れば重要性が分かる!『耐震等級』のこと
このコラムでわかること
- 耐震の重要性
- 耐震等級1・2・3の違い
耐震等級ってなに?
「地震に対してこの建物はどれだけ耐えられるか」を判定し、ランク付けしたものです。
日本は世界的に見ても地震大国です。
今年台湾で大きな被害を出した震度6強の地震。
※画像出典 読売新聞オンライン
それと同等の震度6強、それを超える震度7の地震が、日本では2021年から2024年8月までになんと5回!
この数字からも日本における耐震の重要性が分かります。
耐震等級は3段階
耐震等級は1~3の3つのランクに分けられています。
数字が大きいほど地震に強いことを表します。
そして「地震に強い」の基準となる震度が「想定震度」です。
想定震度とは?
数百年に一度程度の頻度で発生する震度6強~震度7の大規模地震を基準震度として想定しています。
つまり(震度6強、震度7の中でも差はあれど)その基準レベルの地震が2021年から5回起こっているということになります。
まずはここがひとつのポイントになります。
ここからはそれぞれの等級についてのお話です。
「耐震等級1」とは?
現在の法律で求められている「最低限の強さ」をクリアしているのが耐震等級1です。
現在建てられている家が必ず満たしている基準で、震度6強~震度7の地震が来ても「倒壊しない」レベルになります。
この「倒壊しない」もポイントです。
画像の住宅も「倒壊はしていない」状態です。
※画像出典 さくら事務所
あくまで倒壊しないだけで災害後に住み続けることは困難になり、建て替えや住み替えが必要となることが多いため、基準を満たしていれば安心、というわけではありません。
「耐震等級2」とは?
等級1の1.25倍の耐震強度となり、「長期優良住宅」と呼ばれる、長く安全・快適に暮らすことができるよう、さまざまな基準をクリアした優良住宅の認定基準のひとつとなります。
建築物としては「学校」や「病院」のように「避難所として使われる建物」と同等の耐震性となり、より地震に強く安全性が高いことが証明されます。
「耐震等級3」とは?
等級1の1.5倍の耐震強度となり、現在の最高水準の耐震性能となります。
「消防署」や「警察署」のように「災害時の救護活動の拠点となる建物」と同等の耐震性となります。
注意が必要なのが「耐震等級3相当」です。
耐震等級は評価機関の審査が必要なため、コスト削減のため審査は通していないが、計算上は基準を満たしているものが耐震等級3相当です。
実際に基準を満たしているのか不透明なところがあるので「相当」と説明された場合には過度に信用しないように注意しましょう。
実際の大地震で実証された「耐震等級3」の強さ
耐震等級3の住宅は、一度大きな地震を受けても損傷が少なく、地震後も損傷なし、または軽微な補修で住み続けられることが熊本地震のデータから分かっています。
※画像出典 taruShiru
また、耐震等級3が最高等級であるが故に、耐震等級3の中でも大きな耐震性能差があることも知っておきたいポイントです。
耐震等級3の中には「性能表示計算で耐震等級3の住宅」と「許容応力度計算で耐震等級3の住宅」があり、この2つは同等の耐震性能ではありません。
より安全性の高い住宅を求められる方は、耐震等級3の中でも「許容応力度計算」を用いて計算されているかを依頼先に確認していただくことをおすすめします。
おわりに
有事の際に「命」だけでなく「生活」まで守ることができるのが耐震等級3です。
耐震等級を上げるには当然費用が掛かりますが、地震保険の割引率が高い(等級1:10%、等級3:50%)等、安心・安全以外の面でもメリットがありますのでぜひ積極的に耐震等級3の取得をご検討ください。