
リフォーム工事の後に「仕上がりがおかしい」「不具合があるのに対応してもらえない」といったトラブルが起きることがあります。そんな“もしも”に備える制度【リフォーム瑕疵(かし)保険 】を知っていますか?
この記事では、瑕疵保険って何?というところから、なんで必要なのか、そして依頼先の会社が「入らないことがある理由」まで、実際の現場でよくあるケースを踏まえて解説します。リフォームを考えている方は契約前に確認をしておきましょう。
目次
リフォーム瑕疵保険とは?
リフォーム工事に不具合(瑕疵)が発生した際、補修費用を保険会社がサポートしてくれる仕組み です。
屋根、壁等の既存住宅の一部、またはキッチン、浴槽等の既存住宅と一体となった設備にかかる改修工事や設置工事が対象となります。解体工事、撤去・清掃作業、門や塀等の外構工事等は対象になりません。(参照:住宅瑕疵担保責任保険協会HP)
保険加入時には第三者検査も行われるので施工品質のチェックや、施工不良の早期発見にもつながります。

なぜ瑕疵保険が必要なのか?
・見えない部分の工事トラブルを防ぐ
壁の中・床下・配管などは、完成後に確認ができない箇所が多く、施工不良があっても気づきにくいものです。第三者のチェックが入ることで品質が担保されます。
・やり直し工事や費用負担を防ぐ
工事に不具合があった場合は、壊す→直す→復旧する工程が必要になるため、追加費用が発生することが多いのが実情です。工事後に何かあった場合でも保険会社が費用をサポートしてくれるため負担を軽減することができます。
・会社の「もしも」への対策
会社によっては不具合が見つかった場合の対応が誠実ではないこともあります。「うちの瑕疵ではない」と取り合ってもらえない、倒産して連絡がつかないなど「もしも」の可能性にも安心です。
どうやって加入する?
リフォーム瑕疵保険に加入をするのはわたしたち消費者ではなく、リフォーム工事の施工ミス等による損害を担保する事業者(リフォームを依頼する住宅会社)です。
瑕疵保険の登録事業者はこちらから検索できます。ただ、施工を依頼する会社が瑕疵保険に登録していても、その物件で保険加入手続きを行っていなければ保険は使えないので注意が必要です。瑕疵保険の加入を希望する場合は契約時に「この工事は瑕疵保険に加入していますか?」と確認するようにしましょう。

でも、なんで保険に入らないことがあるの?
リフォーム工事のあらゆるトラブルを防いでくれる「瑕疵保険」。でも実際に全国のリフォーム工事でどれだけ利用されているかというと、3~4割程度・なんと半数以下なんです。(参考:住宅リフォーム推進協議会2024年度調査結果)
「トラブルになりたくない。でも、なんでそんなに加入率が少ないの?」
主な理由は以下が考えられます。
① 手続きに手間がかかる
加入するには、物件ごとに書類提出や検査予約が必要です。小規模な工事だと事務負担と見合わないと感じる会社もいます。
② 業者側の費用負担がかかる
保険料や検査費用は基本的に業者が負担します。利益が削られるため、避けたがる可能性も。
③ 検査で指摘されるのを嫌がる
第三者による検査によって施工不良が発見される可能性があるので「面倒」「やり直したくない」と消極的になる会社もあります。
④ 工期が伸びる可能性がある
検査を待つためにはどうしても作業が止まることもあります。工期に余裕がない物件では難しいケースも。
⑤ お客様から要望されないから
依頼主が知らないということも多いため「加入したい」と言われなければ、あえて説明せずに進める業者も多いのが現実です。
PLUS ONE. 参考:瑕疵保険に加入した方がいい工事と優先度が低い工事
加入をした方がいいか判断がつかない!加入の目安は工事の大小ではなく、建物の構造や雨漏りのリスクに関わるかどうかで決めましょう。
・防水に関わる工事
・屋根
・外壁
・ベランダの防水
・サッシ交換(開口部をいじる)
⇒雨漏りのトラブルは補修が高額になるので保険推奨。
・壁を壊す・内部まで触る工事
・間仕切り壁の変更
・壁の内部にある電気・水道配管を触る
⇒見えない場所のミスに気づきにくい。
・断熱にかかわる工事
・壁の断熱材入替
・窓断熱
⇒気密性に関わる施工不良は後で直しにくいため保険が有効です。
・耐震にかかわる工事
・柱や梁、筋かいの補強
・耐力壁の新設・補強
・耐震金物の取り付け
・基礎の補強
・屋根の軽量化
⇒構造に関する施工不良は命に関わる重大な瑕疵に直結します。
・反対に保険加入の優先度が低いのは?
主に表面的な工事は保険加入が必須ではないと考えていいでしょう。
・クロスの張り替え
・床の貼替(上貼り)
・畳の交換
・建具の交換
・設備の交換(キッチン・トイレ・給湯器など)※配管に触れない場合
これらは 施工不良があった場合でも、比較的補修がしやすいです。
ただし、設備の交換でも配管を触ったり、壁を開口するなどの工事が伴う場合は、瑕疵保険が役立つケースがあります。
万が一工事の後にトラブルが起きたら?
まずは施工した会社に相談しましょう。それでも解決しない場合や疑問が残る場合は、国の公的な相談窓口があります。
住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
・施工が適切か
・どこまで直してもらえるのか
・どう対応すべきか
など、中立的な立場でアドバイスを受けられます。
契約前にしっかりと確認をしましょう
リフォーム瑕疵保険は、入る・入らないの判断は工事内容によって変わります。加入の有無よりも大切なのは、リフォームを依頼する会社が保険加入のメリットや費用、対象範囲に対して納得のいく説明をしてくれるかどうかです。
保険加入が「なぜ必要なのか」「今回は入ったほうがいい理由(または不要な理由)」を丁寧に伝えてくれる会社は、工事内容も透明性が高く、結果としてトラブルを防ぐことにつながる可能性が高いでしょう。
-ABOUT SPECIAL SUPPORT-この記事を一緒につくってくれた人

栗林建設有限会社
代表取締役 栗林 宏至
一級建築士・一級建築施工管理技士
長野県内の大手ゼネコンにて現場監督を経験したのち、現在は長野市松代町で100年続く工務店・栗林建設の代表として、設計~現場管理まで徹底的にこだわった家づくりをしています。定期的に開催している住まいのイロハ相談室では、間取りとかデザインとか家の話はしません。「家づくりをスタートするときにまず考えてほしいこと」をお伝えしています。お気軽にご相談ください。
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