
「アパートでは、収納が足りない」「できるだけ収納スペースを多くとりたい」
そう思って計画したプランのはずなのに、実際に住んでみると「思ったより使いにくい」「結局、家中に物があふれている」と後悔される方は少なくありません。今回は、家づくりの現場でよく聞く収納計画の失敗・後悔ポイントと長野ならではの“あるある”を交えながら、後悔しない収納計画の考え方を解説します。
目次
まず知っておきたい収納量の目安
「収納はどれくらいあれば足りるんだろう?」これは家づくりでみなさんが思う疑問です。一般的に言われているのが、延床面積の10〜15%という考え方。たとえば30坪(一般的な住宅・2~3LDK)の大きさの家→ 収納スペースは全体で3〜4.5坪(6帖~9帖程度)。
ただし、これはあくまで「平均的な目安」であって、これより少なくても快適な家もあれば、多くても使いにくい家もあります。
重要なのは「広さ」より「内容」と「配置」なんです。

収納で後悔しやすいのは「大きさ」そのものではない
実際に多い後悔は、こんな声です。
・収納は十分あるのに、片付かない
・思ったより使わない、使いづらい収納がある
・よく使う物を入れる場所が足りなくて、ものがあふれる
家が思うように片付かないのは、収納が小さいからではなく、あなたの暮らしに合っていないからかもしれません。
なぜ収納は「失敗した」と感じやすいのか
マイホームの収納計画が難しい理由としては、プランを作る段階では、まだ新居での「暮らし」を想像しきれないからです。今まで2DKのアパートに住んでいたのに急に3LDKや4LDKの一戸建てでの暮らしを想像するのは簡単ではありません。月日とともにライフスタイルも変化していくので「想像どおり」にならないのは当然でしょう。
設計時の間取り図やパースを見ると「アパートよりも収納がたくさんあるから安心!」、「これならきれいに整理できる」そう感じやすいのですが、実際の暮らしでは次のようなズレが起こります。
・実際に使う場所と収納の場所が遠い
・大きさを優先した結果、奥に入れた物を取り出さなくなる
・家族構成や持ち物が変わる
結果として、「収納はあるのに使われない」=「失敗した」と感じてしまうのです。

家づくりでよくある収納の失敗・後悔
① とりあえず作った収納が使われない
「空いているスペースに収納を」この考え方、実は要注意です。とりあえずで作った収納にはとりあえずでものを入れるので「物置」と化します。整理ができていないと、出し入れが面倒で結果として普段使う物は、別の場所に置きっぱなしになるのです。
② 奥行きが深すぎて“死蔵スペース”になる
収納は広ければいい、と思いがちですが奥行きが深すぎる収納は失敗しやすいポイント。
・手前に物を置くと奥が見えない
・奥の物を忘れる
・結局、出し入れしなくなる
「しまえる量」と「使える収納」は別物と考えましょう。
③ 整理収納の場所と生活動線が合っていない
・玄関で使う物がリビング収納にあり、使い勝手が悪い
・パントリーにすべてをまとめたて収納した結果、それぞれの空間と距離ができて動線が悪い
こうしたズレがあると、毎日の小さなストレスが積み重なります。収納は「場所」が9割、と言っても過言ではありません。

失敗しない収納計画の考え方
① 何をしまうかを先に決める
「スペースをつくる」ではなく「何をどのくらいしまうか」から逆算する。これだけで失敗はかなり減ります。
まずは面倒でも、一度ご自宅のものをすべて書き出してください。意外と把握していないものが出てくるかもしれません。
② 使う場所の近くに収納をつくる
モノは使う場所の近くにあるほど、ムダが無くなります。スペースも最小限でOK。逆に、遠い、動線から外れていると、広くても使われません。その場所で何を使うかを考えましょう。
③ 余白をつくっておく
今の暮らしにピッタリで考えると、将来必ずあふれます。おすすめなのは、
・よく使う収納:今に合わせる
・季節・予備収納:少し余白を持たせる
などメリハリをつけることを意識しましょう。
PLUS ONE. 【長野あるある】収納が失敗しやすい理由
長野県民ならではのモノも計画にいれましょう!
・履き替え用タイヤ(家族分)
・雪かき道具・融雪剤
・畑や田んぼの道具
・アウトドア用品
「寒暖差が激しい」、「敷地が広い」、「自然が身近」な長野県民の住まいは、全国の平均的な収納量だと「足りない」が起きやすいんです。すべてを家の中に収納するのは難しいので、家の中の収納だけでなく外物置も含めて計画しましょう。人気で便利な玄関の土間収納に使う「コンクリート」はお家の材料の中でも特に高額。収納の量にプラスして、収納空間をつくるコストも考えましょう!

間取りは「正解」を探すより「考え方」が大事
収納は「多さ」より「使い方」。収納計画での後悔の多くは、収納が足りなかったからではありません。
使いにくかった、暮らしに合っていなかったというのが多いです。
収納は、住んでからの快適さを左右する“暮らしの設計”。後悔のない家づくりのために、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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