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BUILDER’S VOICE

栗林建設有限会社

代表取締役 栗林 宏至

Hiroyuki Kuribayashi

家づくりで重視しているポイントは?

  お客様が本当に望むものを見つけ出すということを意識しています。SNSに投稿された画像をお持ちになって「こんなイメージがいいんです」っていうお客様が非常に多いんですが、まずは「なぜ」そうしたいのかっていう目的の部分を必ず質問するようにしています。場合によっては、「別の形で実現した方がいいのでは?」ということもお話したりとか。もともとお客様がお持ちだったイメージとは違ったご提案をすることもありますね。お客様のご要望に対して「本当は何を求めているか」というところをしっかりとお聞きできるようやり取りをさせていただいています。
 また、当社は自社の大工が1本1本加工して行う昔ながらの「手刻み」という技法を用いて家づくりを行っています。現在の住宅業界では、工場で加工した木を使って家を建てていく「プレカット」という方法が主流ですが、それに比べると「手刻み」は正直すごく手間がかかります。おそらく1.5倍ぐらいは手間がかかるかなって思ってますが、当社としては「技術を残していきたい」という思いの方が強いんです。まだまだ壊さなくても住めるお家の改修にも職人の技術力や経験が必要ですが、最近では職人さんの人手不足や知識不足から結局、壊して建て替えという選択になってしまうという話も多い。当社はお寺や神社などの改修のお仕事もさせていただいてますが、技術を残さないと住宅だけでなく日本の文化もいずれ絶え、社会的にも大きな損失になってしまうので、大切にしていきたいです。

上/いつもにこやかにゲストを迎えてくれる栗林さん。これから家づくりをスタートするみなさんへたくさんのメッセージを語ってくれた
中下/自社の工場では一つひとつの木の「個性」を確認しながら家づくりを行っていく様子を間近で見ることができる。ショールームでのニコニコの表情から一変、職人の顔になる栗林さん

 

左/伝統工法である「継ぎ手」を用いた同社事務所の7寸柱。一般的な住宅で使われる柱の2倍ほど太さがあり重厚感たっぷり。通常はお寺などで用いられるものだが、同社の技術力の高さをショールームで実際に見てもらうため、あえてとりいれている
右/同社会長の栗林正登さんは長年大工として寺社仏閣の改修に携わり、卓越した技術力や功績が認められ令和5年度「信州の名工」に選ばれた

 

設計において大切にしていること。理想の住まいを叶えるコツとは?

 とにかくお客様といろいろ話すこと。そして、会話の中で出てきたキーワードを結んでいく。そんなふうに設計してます。何気ない会話の中でぽろっと出た一言が本当に求めていることだったりするので、それを聞き逃さないようにしていますね。今はインターネット上でたくさんのプランや住宅事例を気軽に見ることができます。とても便利なものですが、あふれる情報に引っ張られがちな方って結構多いんです。“いいな”って思ったそのプランは「その方たちだから選んだもので、あなたの暮らしに合うとは限りませんよ」っていうことをいつもお伝えしています。住んでから、「やっぱりこうしておけばよかった」って思ってほしくないので。
 流行りに左右されず、空間の大きさや間取りにこだわらず「どんな生活を送りたいか」をぜひじっくり考えてほしい。「こんな暮らしがしたい」っていう漠然としたイメージをかたちにするのが設計士の役目。決して自分たちで間取りを決めようと思わずに、まずは「この人と話していると楽しい」って思う建築士さんを見つけること。打ち合わせが終わった後に「あっという間だったな」って思える人であれば、きっといいお家づくりが叶いますよ。

 

上下/長野市松代町で約100年近く家づくりを行っている同社。過去に携わったお客様からの紹介も多く、日々の丁寧な仕事が信頼につながっているようだ。

 

住宅性能へのこだわりを教えてください

 当社でつくる住宅は「耐震等級3」を標準としています。現在定められている地震に対する建物の性能を表すものの中では最高等級です。家っていうのは、家族が笑顔で過ごせる場所。地震で倒壊とか損傷が起こらないようにしたいですよね。2016年に起こった熊本地震の際には、耐震等級3の住宅は倒壊せずに軽度な損傷で済んだというデータが残っています。日本では大きな地震が起こる可能性が高いので、その時のことを考えると初期費用がかかっても耐震等級「3」を取得しておくことを当社ではおすすめしています。耐震等級3といっても、実は計算の仕方によって全く別物になるんですよ。多くの会社さんは基礎まで計算せずに壁の量や筋交いなどを増やして等級を取得する「壁量計算」を用いています。当社では、もっと細かなところまで確かめられる「許容応力度計算」を実施しています。過重や地震に対して梁や柱などが十分に耐えられるか第三者機関の検査を受け、評価をもらうことでより安全性の高い建物を作ることができるんです。
 また省エネ性も大事。建物や環境によって変わりますが、断熱性能の違いによって毎年の光熱費が十数万円違ってくるということが起こりえます。イニシャルコストだけでなく、月々かかるランニングコストに気をつけていただくのも家づくりで重要なポイント。耐震性能や断熱性能は、人命にもかかわる大切なことです。目の前の建設費用ばかりに囚われず、住み始めてからかかるお金や光熱費、長く安心して暮らし続けるための安全性も意識していただきたいですね。

栗林建設事務所ショールーム

上/松代の歴史ある町並みと調和する和モダンなデザインが特徴のモデルハウス兼ショールーム。耐震等級3、断熱性能はUA値0.29(HEAT 20 G2グレード)で、同社のこだわりである住宅性能の高さが体感できる

PERSONAL DATA

栗林 宏至
Hiroyuki Kuribayashi

栗林建設有限会社代表取締役一級建築士栗林宏至さん

相性が良いと思う人は?という問いに対して「こだわりをお持ちいただいた方のほうが、こちらも答えたいっていう強い思いが芽生えます」とのこと。「うちは、打ち合わせ長い方が多いです。昨日も3時間半とか笑 納得して建ててもらいたいなって思うので。僕は時間が過ぎるのがあっという間ですけどね!」と栗林さん自身も家づくりを楽しんでいる様子がうかがえた

PARTNER’S VOICE

株式会社清水住建工業 和田

一級建築士と一級建築施工管理技士を併せ持つ方で設計も現場管理もできるスペシャリスト。気さくでユーモアもあり、仕事はしっかりこなす信頼できる方です。同じ松代町出身で、僕の先輩というところも推しポイント。

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